イベント情報Event information

　11月中旬。毎年、この時期に井川を訪ねているが、今年も井川の山々は色とりどりに彩色されている。

　静岡市南アルプスユネスコエコパーク井川自然の家（以後、井川自然の家）では、『井川de秋の山登り』が開催された。井川の秋探し、焼き芋体験、秋の星空観察、家族で秋の井川散策など、子どもから大人まで楽しめる内容になっている。今回は8組が参加した。

　参加者は、井川自然の家に昼前に集合。始めの会で、スタッフから今回のイベントの趣旨や午後の焼き芋体験、明日の散策などの説明を受ける。未就学の子どもを含め、熱心に話を聞いていた。始めの会の後、昼食をとり、お腹もいっぱいになったところで、井川の秋探しを開始。3グループに分かれて、スタッフに案内されながら施設内で秋探しへ。

　スタッフによると、取材した日は既に井川自然の家の紅葉は終わりにさしかかっているとのことであった。紅葉している木もあったが、落葉している木々が散見された。目で楽しむことはできなくても、子どもは遊び名人。落葉した葉を踏みしめたときの「音」や、落葉した葉を紙吹雪のように宙に飛ばして楽しんでいた。

　様々な秋の装いをした木々。子どもたちは形や色味の良い落葉を探したり、不思議な形状をした植物を見つけてスタッフに質問したり、五感で秋を体験していた。

　例えば、落葉を集めている最中に見つけた木の切り株を見て、木目の幅が広い方向が南という事を教えてもらった。

　他にも、食べられる木の実と聞いて、抱っこしてもらい一生懸命に木の実を採ろうとしたりする子どももいた。食べてみたら酸っぱかったのか、初めての味ということもあり何とも言えない表情をしていた。

　施設内を1時間あまり散策して、各家族とも袋いっぱいに落葉を集めていた。集めた落葉は、この後の焼き芋づくりの燃料に使うようだ。

　燃料となる落葉を集めたあと、チームに分かれて焼き芋づくりへ。ここでも美味しい焼き芋づくりのポイントをスタッフが丁寧に説明してくれる。湿った新聞紙で芋をくるむことで直接火に当たっても湿った新聞紙のおかげで焦げずにしっとり焼きあがるそうだ。

　説明を受けた後で、自分達の焼く芋を選んだ。今回使うサツマイモは、井川で採れた紅あづま、紅はるか、安納芋の3種類。大きいから甘いという訳ではなく、それぞれの芋の特徴が違うので、食べ比べも楽しみだ。

　顔より大きいサツマイモを家族のところへ一生懸命運んで行く子どももいた。

　サツマイモを持って、予め用意された焼き芋を作る台に向かう。さすがに落葉だけでは燃料として少ないので、スタッフに教わりながら、用意された薪で櫓（やぐら）作り。

　子どもたちは一生懸命に櫓作りをし、ある程度積んだところで着火。勢いよく火が燃えていく。

　洗ったサツマイモは新聞紙にくるみ、水で濡らしてからさらに、アルミホイルで包む。新聞紙にくるむのも焦げないための工夫とのことだ。火力の落ち着いた木炭の上に、アルミホイルに包んだサツマイモをセットする。屋外で、日も沈みかけている時間帯。焼き芋作りの火で暖をとるのにも都合がよかった。

　焼き芋が出来上がるまでの1時間、子どもたちが楽しめる３つのゲームも用意されていた。

　予めくり抜かれた画用紙に拾ってきた色とりどりの落ち葉を貼って、太陽にかざしてみると、赤や黄色の窓ができる。色々な落ち葉の組み合わせで多種多様な窓ができるとわかると、子どもたちも自分の作品を作るのに没頭した。

3種類作って、自慢げに作品を見せてくれました！

　拾ってきた落ち葉や枝で似顔絵を作る。
先ほど、施設内を散策して集めた落葉や木の実、枝で想い想いの絵を作っていく。

　落ちた杉の枝をトナカイの角に見立てて、自分だけの作品を完成させていく。一つ一つは、落ち葉や枯れた枝だが、人間の創造力でそれらを組み合わせると、一つの作品が完成する。絵の具や筆が無くても自然の中にある素材から絵を作ることができる。

　子どもも大人も時間を忘れて自分が想像した似顔絵を作っていた。

　かごに入った松ぼっくりをおたまですくい、落とさないように２０ｍほど離れた別のかごに移していくタイムトライアルレース。

　松ぼっくりを落とさずに運ぶのが、なかなか難しそうだった。何度もチャレンジし、ベストの記録を目指していた。

　ゲームを一通り体験していると、小腹がすき、丁度、焼き芋もでき上がる時間になっていた。

　今回の焼き芋体験では井川産の紅茶も準備されており、焼き芋と一緒に地場の紅茶も楽しめる。至れり尽くせりだ。

　焼き芋が出来上がるのを待ちながら、コッヘルで紅茶の準備もする。

　井川産の紅茶の良い香りが各所より立ち上り、焼き芋も良い具合に焼き上がった。できたてほやほやの焼き芋と紅茶を家族で楽しむ。

　取材スタッフがご厚意でいただいた芋は安納芋だった。少し水分が多いがねっとりした食感。甘味が抜群で非常に美味しくいただいた。また、井川紅茶とサツマイモが相まって至福のごちそうであった。

　焼き芋を楽しんだ後、片付けをして屋内へ戻った。

　17時30分に夕食をとり、19時30分からは井川自然の家では恒例の季節の星の話を聞く。この間に風呂も入り、22時に消灯。明日のアクティビティに備える。

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