イベント情報Event information
井川の秋を彩る渡船祭り
井川湖上には、道がある。この道は、車の道路ではなく、船が通る珍しい市道である。井川ダムが作られた時から、住民の交通手段として使われてきた船の道。井川湖上に渡船便があることはあまり知られていないかもしれないが、この船は、観光客も乗船することができる。
この湖上を通る船が、2020年に新造された。今回は、この新造された船で開催される井川渡船祭り船上紅葉狩り茶会を取材した。
井川の人とある渡船
現在の井川湖の湖底には、井川ダムができる前は集落があった。ダムの完成とともに、湖底にあった集落の人々は、現在静岡市役所井川支所がある本村付近などに移住した。渡船が通る航路は、かつて人々が往来していた道があった場所。ダム完成以来、沈んだ村道の代わりに、渡船は住民を運んできた。現在は、この湖上の道を毎日定期便が、4便往復している(※天候や水位状況により運航しない場合もある)。
静謐(せいひつ)な湖上を船のエンジン音を響かせながら、本村から井川ダムまで、20分ほどの定期便航路を進んで行く。別ルートとして、南アルプスユネスコエコパーク井川自然の家の裏山の渡船乗り場となる宮向乗船場まで進む、10分ほどの臨時便もある。
船の名前は、南アルプスの山々にちなんで付けられてきたとのこと。現役で稼働している『赤石丸』に加えて、今年新造されたのが『令和聖(れいわひじり)』。令和聖は、井川の地元の人から名称を募集して、名山「聖岳(ひじりだけ)」の名を冠し「令和の時代に作られた事を後世に語り継がれるように」という事で決められた。
井川湖上からの特別な景色を楽しむ
今回は、渡船祭り特別便で本村の渡船乗り場から井川大橋の下を通る往復約35分のコースの体験渡船。この時期は、井川湖周辺の山々が紅葉し、一番彩り豊かな井川湖を楽しむことができる。船上から望む、紅葉した井川の本村や山々の景色が楽しみだ。
新造された『令和聖』に早速乗船
赤石丸はガラス窓がなく、井川湖の風を感じられる船だったが、令和聖は、しっかりしたガラス窓が付いていて、雨の日や寒い日にも気にせず乗船ができそうだ。また、対面式の座席の前に机があるなど、遊覧船に近い雰囲気である。どちらの船も通常時は20名が乗る事ができる。
渡船乗り場から、井川湖の中程まで進むと船上からは絶景が。
船上から望む井川湖周辺の景色は、言葉よりも是非写真で見ていただきたい。
エメラルドグリーンの水面に映った紅葉
井川大橋の遠望
車でも渡ることができる井川大橋。普段は橋上から景色を楽しむが、今日は船上から吊り橋を望む。
井川大橋を下から望む
エメラルドグリーンの湖面。両側には、紅葉した井川の山々。素朴ではあるが、自然が作り出す景観が乗船者の目を楽しませてくれる。
船内でのお茶会
今回のイベントには、もう一つ特別な企画がされている。イベント名称になっている「船上紅葉狩り茶会」だ。船上で井川の景色を愛でながら、井川の緑茶と、井川の在来作物で作ったお茶菓子を楽しむ事ができる。事前に予約したグループ単位で、お茶菓子をいただく。
お茶菓子は、ホモロコシ、井川茶、きなこで作った雑穀クッキー。井川で育った素材を使っている。素朴な味だが、素材の良さが伝わり、緑茶との相性が非常に良い。 作ったのは、井川のらり屋の西川さん。このお茶菓子は、井川ビジターセンターなどでも買うことができる。
船の中で、絶景を見ながらのんびりとお茶をいただいていると、あっという間に渡船乗り場に着いてしまった。
本村に戻ってみると、乗船希望の観光客が、行列を作っていた。井川ダムや宮向に行く通常の定期便は、予約の必要はなく乗船が可能である。(ただし先着順)
今回のイベントは、静岡市役所井川支所が企画している。担当の上治さんは静岡市出身で、ご主人は、井川の山で気象などのデータ採集をされているとのこと。『井川のゆったりした時間を皆さんに体感してもらえれば』という思いで、イベントを取り仕切っていた。井川を愛する人達によって、企画された本イベントは、満足度の高い体験となった。
船上茶会便は今後イベントだけでなく、日常的に運航することを検討している。
イベント名 | 井川渡船祭り・船上茶会 |
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開催日・開催期間 | 毎年11月中旬 |
会 場 | 井川本村 渡船待合所 静岡市葵区井川670 |
駐車場 | 市役所井川支所の駐車場をご利用ください |
主 催 | 静岡市役所 井川支所 |
お問い合わせ | TEL:054-260-2211 |
※この情報は、2020年12月のものです。
開催時間など掲載内容は変更されている場合があります。おでかけ前に主催者・施設にご確認ください。